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六道の辻

つらつらと日々のことだとか東方のことだとかたまにssなんかも乗せている、そんな場所。フリーダム更新。 

2007.10.28[日] 拍手まとめ4

パチュリーさん4~7(7は書き下ろし)
ですから「パチュリーさん」と「パチュリー」とはまったくの別物ですので、そのことを事前に良く理解し(ry


『パチュリーさん4』

パチュリーさん一人で本を読んでる。
そこへ魔理沙がやってきた。

「よお、パチュリー」
「いらっしゃい、魔理沙」

……魔理沙だわ。魔理沙がやってきた。
うーん、やっぱり魔理沙はいつ見てもいいわね。……はぁはぁはぁ。
毎回毎回、私の秘蔵の本を持っていったりするけれども、そこはまぁ、必要経費と割り切る。

「今日は本を返しに来たんだぜ」
「……明日は槍どころか隕石が降ってきそうね」
「む、なんとでもいえ」
「でも、いったいどういった心境の変化なの?」
「う。……こ、香霖の言うことを聞くわけじゃないんだけど、あいつが人に迷惑をかけるなって言うからさ。ほ、ホントだからな!香霖のやつは関係ないんだぜ!」

……この場にいなくてもあいつは私の邪魔をするのね。ぎりぎり。
でも、魔理沙の前ではあくまでもクールにクールに。
……。
むかむかむか。

「……次に来た時は容赦せずに」
「パチュリー?」
「……ぶつぶつぶつ」
「……おーい?」
「は!?……ご、ごめんなさい魔理沙、ちょっと考え事をね」
「そうなのか?まぁ、それでこの本とこの本とこの本を返すぜ」
「……ええ。確かに返してもらったわ」
「おお、それじゃあな!また気が向いたら来るぜ!」

そう言うと魔理沙は帰っていった。
パチュリーさんは魔理沙の後姿が見えなくなるとその場で悶えた。

私としたことが何たる失態!
やっぱりあの男は敵だわ!許せないわ!
森近霖之助め……次に来たときはどうしてあげようかしら?
がるるるる。





『パチュリーさん5』

パチュリーさん本を読んでる。

「……」

パチュリーさん本を読んでる。

「……」

パチュリーさんちらりと図書館の扉の方を見る。

「……」

でも、扉は開かない。
パチュリーさん本に視線を戻す。
小悪魔がその様子をじっと見てる。

……不倶戴天の敵である森近霖之助は周期的にそろそろ図書館に来てもいいころだ。
ふふふ、今日はどうしてあげようかしら?
前はわざと図書館の一番端にある本を大量にこちらまで運ぶように言ってやったわね。
その前は新しく入った数百冊の図書を索引別に全部分けるように言ったかしら。

その時、図書館の扉が開いた。

「!」
「パチュリー様、食事をお持ちしました」

入ってきたのは咲夜だった。
パチュリーさんは小さくため息をついた。

あいつめ……早く来なさいよ。もう。






『パチュリーさん6』

パチュリーさん、なんともなしに手元の本を眺めてる。

「……」

表情はどこか不満気。

……きっとこれはあいつの心理戦法か何かに違いないわ。
私が忘れた頃にまたずうずうしく現れるとかそういうのに決まってるのよ。

「……」

パチュリーさん、手元の本は眺めるだけ。
それから何度目かのため息をパチュリーさんがついた後、がちゃりと図書館の扉が開いた。

「……ふぅ、永遠亭の薬師に頼まれた薬草のあの量は半端じゃなかったな。……そういえばここに来るのも久しぶりだな」

入ってきたのは霖之助だった。
パチュリーさんそれを見て勢い良く立ち上がってそちらへ近づていった。

「こんにちは。随分とご無沙汰ね、店主さん」
「やぁ、パチュリー。久しぶりだね」
「あなたがここに来ない間は随分と静かで快適で過ごしやすかったわ。魔理沙ともたくさんおしゃべりできたもの。レミィとも楽しくお茶をしたし、本だってずっと集中して読めたわ」

……やっときたわね。
弾幕もろくに張れないくせにこの男は随分と私を馬鹿にしてくれたものだ。
この礼はたっぷりとしてあげなくては。さてさて、一体どうしてやろうか。

「本当にあなたがいなくてせいせいしてたのに、またあなたの顔を見るなんて……っ!? げほっげほっげほっ!!!」

……く、苦しい。
喘息が……なんて、こと……私が……。

「!? 大丈夫か!? 小悪魔!咲夜さんに知らせるんだ、早く!」
「は、はい! パチュリー様、待っててくださいっ!」

そういうと小悪魔はすっとんでいった。

「あまり動かないで、ゆっくり、ゆっくり……」
「げほげほ、私に、気安くげほ、触るげほげほ……」
「ほら、無茶しちゃ駄目だ」

霖之助はそれから咲夜さんと小悪魔が帰ってくるまで、少しでもパチュリーさんを楽にしようと背中をずっと撫でていた。
優しく、ゆっくり、暖かく。


……ふん。
私に馴れ馴れしく触るなんて、本当にこいつは……!
本当に嫌なやつ!嫌なやつだわ!
少し楽になったのだって気のせいに違いないわ!
きっとそう!




……お礼なんて、絶対にしてやるもんですか。










『パチュリーさん7』

パチュリーさん本を読んでいる。
ただし、読んでる場所は、図書館じゃなくて紅魔館の厨房。
本も魔道書の類じゃなくて、料理の本だ。
調理台の上には銀のボウルや卵に薄力粉、砂糖にバターが置いてある。
ちなみに、ゴミ箱には今まで消し炭になった食べ物が詰まってる。

「……これは賢者の石よりも難解ね」

砂時計がかれこれ428回目のオーブンの焼き上がりを知らせる。
パチュリーさんが恐る恐る中を見てみると――。





ヴワル図書館にやってきた霖之助。
手ごろな本を本棚から持ってきてじっと読んでいる。
その時、横合いから紙の包みが霖之助に差し出された。
それは甘い匂いがした。

「これは?」
「この間、私が喘息で倒れた時の……お礼よ」

パチュリーさんは何故か本で顔を隠してそう言った。

……ま、まぁ、あの時は本気で心配してくれたわけだから、そのお礼くらいして当然よね。
だからこれは別に深い意味なんて込める必要なんてないの。
……何か上げるのもこれが最初で最後よ!

「ああ、あの時の。……へぇ、マドレーヌか」
「ええ、そうよ。それを作るのに私がどれだけ苦労したことか」
「へぇ、手製なのかい?てっきり咲夜さんが焼いたのかと思ったよ」
「ふん。……彼女ほどじゃないけど私も料理はするのよ……少しくらいは」

パチュリーさん、顔がなんだか熱くなって霖之助の方をまともに向けない。
霖之助はマドレーヌを一つ

「……うん、甘くて、本当においしい。ありがとう」
「お礼なんだから、それにお礼はいらないわ。でも、まぁ……どういたしまして」

そう言ってそっぽを向くパチュリーさん。
彼女は本で隠れて良く見えない。
でも、なんとなく、嬉しそうだ、と霖之助は思った。
それから二人は静かに本を読んだ。




パチュリーさんが座る席は、いつもより、ひとつだけ。
霖之助に近かった。



END……?
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Comment
2007.10.29 Mon 01:58  芦桐 #-
ばかやろう!!勝手に逝くな、相棒!
……ちくしょう。なぁ、俺たちは約束しただろう?
霖之助の桃源郷に一緒に行くってよぉ……。
まだまだこの世界のどかに俺たちのしらない霖之助がいるっていうのに、なんでなんだ……くそっ!
お前がいないと…霖之助のことを語るやつが一人減っちまうってのに……本当に、お前はばかやろう、だぜ……うっく……(何
  [URL] [Edit]
2007.10.28 Sun 23:28  刑事ボロンゴ #Cfl4muQA
・・・(満足な表情を浮かべている。)
――ッ!!(鼻血を噴出している。)
・・・・。(光悦な表情をしているが返事が無い。たった今昇天したようだ。)
  [URL] [Edit]
2007.10.28 Sun 18:59  芦桐 #klcj.0UQ
気のせい気のせい(ぇ
やる気とやらない気との差が激しいからそう見えるんだってw
あとこーりんはこーりんでも極端すぎるこーりん分はさすがにあれですw
まぁ、霖之助の基本を外さない程度に

パチュリーさんは……ほら、拍手ssだしw
またネタができると書かずにはいられないでしょうw?
  [URL] [Edit]
2007.10.28 Sun 17:52  ピースケ #dzkCzy9Y
なんか最近エンジンノンストップですね
咲夜さんの話もフランの話もとても面白かったです
フランの話はこーりん分があると書いていましたからてっきり褌一丁でフランと話しているのかと思いましたよwww

そして今回のパチュリーの話一応完結、でいいんですかね?
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プロフィール

芦桐次蔵

Author:芦桐次蔵
名前は「あしきりじぞう」と読む。
最近自分が変態であることを認めたらしい。

のらりくらりと毎日を生きてる。
熱しやすく冷めやすい面倒くさがり。
良く食べるが体重の増減がしないタイプ。
まとまりがないことで一部では有名。
執筆速度:2kb/h
             
東方とか秋刀魚が好き。
霖之助がお気に入り。
いつも何か面白い小説を探してる。
弱点はロミオの青い空。
たまに食べられてる。

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