自分のじゃ届かない!

だれてめぇ率86%くらいでお送りします(いきなり何
傾向はルー霖な感じで。

正直こんな時間まで起きてるとか今日も買いに行く気はないんだろうなぁ、私。

そして、次回作は映霖ではなくメル霖を書くことに。
おのれ、おのさんめうぎぎぎぎ。              
                                                 ぬるぽ


「わぁ、お鍋だぁ!」

そう言ってパッと笑顔を咲かせるルーミア。
青白い炎を灯す「ガスコンロ」は実に便利で、たびたびこうして香霖堂の居間にて上に土鍋を乗せて活躍している。
鍋の中では全体的に白い色をした具がぐつぐつと良い具合に煮えている。


「寒い時は鍋に限る。……と、いっても具は豆腐と白菜だけなんだが」
「はふ、おいしー。はふはふ」

それでもルーミアは美味しそうに鍋を突いている。
というか霖之助はルーミアが「不味い」と言った記憶がない。
何を出しても「美味しい」と言って完食してしまうのだ。
彼女の食べ物に対する分類は「美味しい」か「食べれない」の二つに大きく分別されているのでは、と最近霖之助は思い始めている。

「んー? どうしたの、霖之助?」

威勢の良いルーミアの食いっぷりに感心して霖之助の箸が止まっていたのだ。
ルーミアが首を傾げて霖之助の方を窺う。

「ああ、いや、なんでもないよ」

霖之助は適当に誤魔化すと鍋の中の豆腐と白菜を自分の器に盛り、食べ始める。
白菜は芯の太いところまで火が通っているし、豆腐は熱が中まで通っていて気をつけないと火傷してしまいそうだ。

「……はふはふ、うん、我ながらなかなか」

シンプルで素材の味がそのままである鍋は素朴だが、体の中から暖かくなるようだった。
箸も進む。

「……っ!」

と、霖之助が鍋へ箸を伸ばして具をよそおうとした時だった。
ちょっとした不注意から霖之助の人差し指が鍋の淵に触れてしまったのだ。
熱さに驚いて箸を落とす。
かちゃりと音を立てて箸はばらばらになって転がる。
霖之助は急いで自分の耳たぶに指を持っていく。

「……ふぅ」

どうやら火傷までにはいたらなかったらしい。
霖之助は一息ついて、散らばった自分の箸を拾う。
鍋の中身も散らばらなかったのは不幸中の幸いといったところか。
改めて霖之助が食事を再開しようかと思うと、彼はルーミアがじっとこちらを見ていることに気がついた。

「……どうしたんだい?」
「ねぇ、どうして、霖之助は耳たぶを触ったの?」

どうやら彼女は今さっきの霖之助が取った行動が初めて見るものだったらしく、疑問に思ったらしい。

「ああ、これは、耳たぶが一番体の中でも体温が低い場所で、熱いものに触ったりしたらそこで冷ますために触るんだよ。まぁ、ちょっと昔に丁稚をしていた家の奥さんが教えてくれたんだが、……普通に考えてもみれば実際は30度ほどの耳たぶでどれくらい冷やすのに効果があるのかはなかなかに疑問ではあるかな」
「へぇ、そーなのかー」

もしかしたら白玉楼とかの幽霊たちならばもっと効果があるのかもしれない。
体温自体が低くて冷えてそうだし。
とりあえずルーミアは納得したのか、食事に戻った。
ちなみに豆腐が上手く箸でつかめないらしく苦戦しているようだった。
霖之助は霧雨の親父さん元気にしているだろうかと、ちょっと以前に人里で会ったお世話になった人の顔を思い出したりしていた。
と、霖之助が少しばかり思考を別にやっている時だった。
がちゃん、と先ほど霖之助が箸を落としたのと同じような音がした。

「〜〜〜〜っ!!!?」

見るとルーミアが真っ赤な瞳をいっぱいに広げて、目端に涙を滲ませていた。
それでもって口元に両手を添えて、言葉にならない悲鳴を上げているようだ。
霖之助は「ふむ」と顎に手を当てた。
彼女の手元にある皿に白い豆腐が湯気を立てている。
まぁ、大方舌を火傷したのだろう。
霖之助はコップに水でも汲んでくるか、と立ち上がった。

「今水を持ってくるから少し待ってどわぁっ!?」
「〜〜〜っ!!!」

しかし、どすんと、腰に衝撃を受けて霖之助はその場に尻餅をついてしまう。
ルーミアが自分に体当たりしてきたのだと気がついた時にはすでに彼女の顔が、霖之助の目の前まで迫っていた。
霖之助は仰天してルーミアを剥がそうとする。

「ル、ルーミア、話せばわか……っ」

だが、問答無用とばかりにルーミアは強引に霖之助の頭を抱え込む。
小さいが、流石は妖怪。
霖之助の抵抗もむなしく、がっちりと頭部をホールドされる。
ばたばたと霖之助は暴れるが、ロープは彼の手から遠いところにあるようだった。
そして、ルーミアは勢い良く……。



かぷ、ぺろん。




と、霖之助の耳を口に含んで、小さな舌で耳たぶを舐めたのだった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!?!?!?!?」

そしたら今度は霖之助が声にならない悲鳴を上げる番だった。
逃げようにも霖之助程度の力ではびくともしない。
ぴちゃりぴちゃりと直接鼓膜を突き抜けて頭に響いてくる水音と、熱く濡れた舌が彼の耳を蹂躙していく。
寒くもないのにぞくぞくと背筋が震えて、霖之助は情けなく腰を抜かしそうになる。
いよいよ混乱の境地に達しようとする霖之助。
その足がコンロと鍋、その他諸々が乗った机の足に引っかかった。
霖之助は足の痛みを感じつつ、ルーミア越しに机がひっくり返っていく様をスローで見た気がした。
宙を舞う、鍋、食器。


――ああ、終わったな。


霖之助は思考の白いところで薄っすらとそう思った。
そして、そこでふっつりと考えるのをやめた。

今夜もまた香霖堂から騒々しい気配が絶えない。

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