六道の辻

つらつらと日々のことだとか東方のことだとかたまにssなんかも乗せている、そんな場所。フリーダム更新。 

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2007.09.25[火] 『わかる人にはわかるんです』

どうせ俺はわからない人!
そろそろフリーダムな設定に定評が出だしてきてもいいころだと思う。
例によって例のごとく、出来上がった瞬間に俺が不快感を(以下略

つまりは、「ゲテモノ?食えるならプリンに醤油をかけてうに丼として食うさ!」という猛者は「続きを読む」からどうぞー。
香霖ssの風上にこそっと置かせてもらってるような感じ。

あと霊夢ごめんなさい。次はまともなのにし(夢想封印


世間ではぼちぼち夕食の時間である。
しかしながら、人と妖怪との間の子である森近霖之助にとって食事はとってもいいし、とらなくてもいいものである。
よって、世間が夕食であるこの時間帯もゆっくりと読書に当てる事ができるはずなのだが……。
「……りんのすけ、さん。ごはん食べさせて、ちょうだ、い……」

げっそりとした霊夢が店の前まで蚊のように飛んできてそう言ったので、今日は夕食を作ることとなったのであった。

とりあえず空腹で満足に動けないらしい霊夢に、霖之助はお茶とお茶菓子を出して夕食ができるまでの時間を待つように言って台所へと消えていった。
一人暮らしが長いおかげもあって、食材を切る霖之助の手つきも慣れたものだ。
だがしかし、弘法も筆の誤り、猿も木から落ちる、にとりの川流れ。

「……ぅっ!」

ちょっとした不注意でその指先を切ってしまったのだ。
人先指から血がつぅっと垂れる。
ちょっと悩んだが、居間の方から「霖之助さんはやくー」という声がかかり、彼は指先を口に含み血を吸い、そして傷口を水で洗い先に料理をあらかた作ってしまうことにした。

「ごはんもそろそろ炊けるし、味噌汁も後は味噌を溶けば……」

と、霖之助が味噌を冷蔵庫から取り出し、味噌の具材の出来上がったところに溶かそうとした時だった。
ぽたり、といつの間にか再び垂れていた人差し指の血が、偶然にもその味噌汁の中へと落ちてしまったのだ。
これはマズい。いろいろと不味い。

だが、その時に再び居間の方から先ほど同じように「霖之助さんはやくー」と声がした。
言っていることは同じだったが、その声の調子が先ほどのものよりも弱弱しい。
とっくにお茶もお菓子も食べつくしてしまったのだろう。

仕方ない、と霖之助は普段よりも気持ち多目の味噌を溶くことにする。
恐らくあの空腹状態では味に関しては若干荒くても気づくことはないだろう。

ご飯が炊き上がり、味噌汁も一応できてそれぞれの器に盛って、お盆に載せて居間へと行くと客が一人増えていた。

「こんばんは、霊夢。やっと見つけたわ」
「……レミリア、なんであんたがここに」
「神社に行ったらいないから、そこにいた鬼に聞いたらここだって教えてくれたわ。ちなみに咲夜はお留守番中」

永遠に紅い幼き月ことレミリア・スカーレット嬢だ。

「レミリア、私は今ご飯を食べるのに忙しいの」
「あらそう?……そうね、だったら私も一緒に食べようかしら?たまには戯れでこんな質素な食事も悪くないわ」

なんだかんだいって食事の膳が一人分増えることとなった。

そして、いざ食事となると霊夢は凄まじかった。
どれくらい凄まじかったかというと、一緒に食卓についていた二人の妖怪が「え?こいつ実は人間じゃないんじゃないの?」と真剣に疑うくらいに凄まじいものだったという。

とりあえず、そんな巫女を横目で見つつ、レミリアも箸の扱いに苦労しつつご飯と味噌汁と漬物だけという館では考えられないような食事に興味半分口に運んだ。
そして、その中で味噌汁を一口啜った時だった。

彼女の優雅な眉がぴくり、と片方跳ねた。

「シェフを呼べ!」

がたり、とその場で味噌汁片手で立ち上がる夜の王たる吸血鬼のお嬢様。
きっと手にしているのもがスープとかで、場所が高級レストランのようなところであればなかなか絵になっていそうなものだが、残念ながら今の姿からはカリスマを欠片も感じることはできない。
ちなみに霊夢は我関せず、とご飯を食べるのに忙しそうだ。

「シェフ……というか作ったのは僕だが?」

それを座布団の上に座った霖之助が見上げながら言う。
するとレミリアがずずっと顔を霖之助の方へ近づける。

「この濁ったスープには何を入れたのかしら?」
「濁ったスープじゃなくて味噌汁だ。何を入れたかって見ればわかるだろう。味噌とネギに油揚げ、それと豆腐だよ」
「……本当にそれだけ?」
「こんなことで嘘はつかないさ」

むー、とレミリアが唸る。
ずずっと味噌汁を一啜りして再び、むー、と首を捻る。

「……そんなに不味かったのかい?」
「む、いえ、不味くはなかったわ。ただ……」
「ただ?」
「な、なんでもないわ!あなたが気にすることじゃないわよ!」
「は、はぁ……」

霖之助はとりあえずこの事態に呆れるだけだ。
そして、ぶつぶつと独り言をもらしながら何やら考え事をしている風だったが。

「……ちょっと用を思い出したから帰ることにするわ。それじゃ、霊夢、名残惜しいけどまた今度遊びにいくわね」

そう言うとすくっと立ち上がって帰ることを宣言したのだった。
霊夢はその言葉に箸を持ったままのをひらひらと振って答える。
それからレミリアは何故かじっ、と霖之助の方を見るとすっかり暗くなった空へと羽ばたいて飛んで行ってしまった。


――何故か味噌汁の碗を持ったまま。


「……一体なんだったんだ?」
「さぁ?」

あとに残されたのは、呆然とする店主とすっかり空になったおひつと満足そうに横になる巫女だけだった。









数日後の紅魔館。

「ごちそうさま」
「……お嬢様、どこか具合でも悪いんですか?」

食事の席で食事を残した主に従者が尋ねる。

「いえ、どこも悪くはないわ。……ねぇ、咲夜」
「はい?」
「あなたを疑うわけじゃないんだけど。……最近、料理の質が落ちたかしら?」
「そ、そんなことは!……いつも食材の仕入先から保存管理に関するまで完璧に品質管理をしています!実際の現場には私も立ち会っていますから質が落ちるようなことは……」
「そう、よね。……今日はたまたまあまり食欲がなかっただけかしら?」
「いえ、もう一度仕入れ先から全てのラインを調べてみます」

そういうと従者の姿が始めからそこにいなかったかのように掻き消えたのだった。
一人残された主はふと部屋の窓へと視線を移す。
外は夜の闇が横たわっており、空には月と星が浮かんでいる。

「……はぁ」

物憂げにため息をつく彼女の脳裏には、数日前に口にした濁ったスープが思い出されていた。



某軍師曰く「この撤退は次への布石です」
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Comment
2011.12.01 Thu 03:08  芦桐次蔵 #-
>   殿
この時、私はテンポを合わせるために3つほど同じ単語を並べようと思っていた。
弘法、猿、河童……。私は似たようなことわざが多い日本語に感謝しながら書いた。
しかし、書いたあとで一工夫入れたくなった私は、にとりを川へとそっと流したのだった……。
Re: タイトルなし  [URL] [Edit]
にとりの川流れに思わず笑ってしまったww
  [URL] [Edit]
2007.09.25 Tue 04:09  ピースケ #dzkCzy9Y
続くのかかかかかー!?
とりあえず続編に激しく期待!

芦桐さんのSSでの設定はそんなに無茶じゃないと思いますし着眼点も良いと思います
基本的な霖之助の設定を壊してるわけじゃないですし
そういえば半人半妖の血っておいしいんだろうか
半人半妖は珍しいらしいですけどね

そしてさらに次の霊夢SSも期待してます!
がんばってください
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プロフィール

芦桐次蔵

Author:芦桐次蔵
名前は「あしきりじぞう」と読む。
最近自分が変態であることを認めたらしい。

のらりくらりと毎日を生きてる。
熱しやすく冷めやすい面倒くさがり。
良く食べるが体重の増減がしないタイプ。
まとまりがないことで一部では有名。
執筆速度:2kb/h
             
東方とか秋刀魚が好き。
霖之助がお気に入り。
いつも何か面白い小説を探してる。
弱点はロミオの青い空。
たまに食べられてる。

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